営業マンの心得
「機械の営業マンに簿記の知識いらなくない?」
「入社する会社の財務情報なんか全く知らない。」
正直、僕も大学生の時は商社に入ってゴリゴリ営業するし、別に簿記なんか勉強しなくていいやと思っていました。
当然、入社する会社の財務状況なんかわからないし、あんまり興味もないというどうしようもない状況。
なんで、受かったのか・・・。とは言えそんなことをしっかり考えて会社選びをしたり、財務分析をする大学生なんかいなかったような気もします。
しかし、今僕が商社マンとして、サラリーマンとして、一番必要だと感じるのは財務分析をする能力です。
それは、どんな業態の会社に入社したとしても、営業部に配属されようが、経理部に配属されようがです。
確かに、経理部だと簿記の知識や、財務分析の能力が必要なことはなんとなく理解できると思いますが、なぜ営業部でも必要なのでしょうか?
経営分析、財務分析ができないことによる弊害
例えば
あなたが機械を売る会社の営業マンだったとしましょう。
最近、営業成績も落ち込んでおり、苦戦する日々。そんな時、A社から500万円の受注がありました。
A社との取引は今回が初めて、契約条件は、納品の3か月後の振り込み。
500万円もの大きな売上がたつ、いままでの努力が報われたと思い、すぐに契約を交わし、海外の仕入先へ機械の発注に取り掛かろうとしています。しかし、この後あなたは先輩からこっぴどく怒られる結果に。。。
このケースには、大きく3つのリスクがあります。
得意先の支払能力はあるのか?
A社への納品が終わり、3か月後の支払予定日、待てど暮らせど、入金されません。A社に電話すると、資金繰りが悪化し、支払をもう少し待ってほしいとのこと。
まあ、多少遅れる分に問題ないと考えているかもしれませんが、非常に大きな売上が予定通り入金されないと、従業員の給与を払えなくなったり、仕入代金を払えなくなったりする可能性があります。
結果として、自分の会社の資金繰りまで悪化し倒産する可能性もあるのです。
A社は有名な会社だし、問題ないと考えるかもしれませんが、A社の決算書を見ましたか?どんなに有名な会社でも、資金繰りが悪くなることはあります。油断は禁物です。新規に取引を開始する会社の財務状況は必ず把握するべきです。
少しでも、危ないと感じたら、支払いを前払いにしてもらうか、保険を掛けたり等リスクを減らすことを検討しましょう。
自分の会社の資金は大丈夫か?
500万円の売上金は、3か月後の入金です。つまり、3か月間この500万円は眠ってしまうわけです。
機械の仕入に必要な現金、この案件に関わる人の人件費等、500万円の入金がある前に多くの現金が必要になってきます。
この急激な運転資金の増加に自分の会社は耐えられるのかといことを考える必要があります。
この運転資金の考え方を理解し、契約条件を検討することも営業マンの大切な業務になります。
仕入先の生産能力は?
せっかく、A社からの大口な受注を得たにも関わらず、仕入先の生産能力が足りず、300万円分しか売れないとなったら、非常にもったいない。
特に商社マンであれば、得意先(売り先)ばかりでなく、仕入先とも密に連絡をとり、生産能力の管理をする必要があります。
まとめ
これら3つのリスクを検討するためには、得意先、仕入先、自社のすべての経営状況、財務状況を把握し、分析する必要があります。
財務分析の基本は、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の3つになります。
ただ、営業マンに求められるのは、これらの財務状況のみではなく、社長の性格、工場の稼働率、ブランド価値等、定性的な情報も把握する必要があることをお忘れなきよう。